健康コラム

「認知症かかりつけ医」はなぜ必要なのか?

認知症に潜む4つの大きな落とし穴

認知症とは、「脳や体の病気が原因で記憶・判断力などに障害が起こり、生活するうえで支障のある状態」で、しかも「そうした状態が6ヵ月以上継続している」場合に限り認知症と診断されます。平成22年度の認知症の患者数は推計208万人で、予測を上回るペースで増え、他人事では済まされない、身近な問題です。この認知症に潜む4つの大きな落とし穴を、あなたは知っていますか?

 

落とし穴1「年のせい」にして認知症のサインを見落としがち

その一つが、認知症を「年のせい」にしてしまうことです。最近は、働き盛りの年代でも起こる「若年性認知症」が問題になっていますが、認知症患者の多くが高齢者のため、老化によるもの忘れと思い込み、初期症状のサインを見落としてしまうことが少なくありません。認知症は初期段階であれば、症状の進行を抑えたり、重大な障害を予防する可能性も高くなります。その初期症状を見逃さないよう注意しましょう。

● 認知症の初期症状・同じことを何度も言ったり聞いたりする。・いつも探し物をしている。・ヒントを言っても人の名前などが思い出せない時がある。・食事をしたことを覚えていないことがある。・慣れた道でも間違えるようになった。・ささいなことで怒りっぽくなった。・一人になることを怖がるなど不安感が強くなった。・趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった。・身だしなみを構わなくなった。

 

落とし穴2認知症の背後にある病気を見落としがちに

認知症を“もの忘れ”と思い込んでいると、その奥に潜む病気に気付かず、脳梗塞などの重大な障害を招いたり、症状を悪化させることになります。

認知症には、脳の神経細胞が減って脳が小さく萎縮してしまうために起こる「アルツハイマー型認知症」や、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などで、脳の血管が詰まったり破れたりして、その部分の脳の働きが悪くなるために起こる「脳血管性認知症」など様々なタイプがあります。治療法はそのタイプによって異なります。認知症の約半数を占めるアルツハイマー型認知症では、症状の進行を遅らせる薬を早めに服用するほど効果が期待できます。症状の判定が遅れれば、それだけ適切な治療ができなくなり、症状を重くしてしまうことになります。

 

落とし穴3本人の苦しみを見落としがち

もの忘れが多くなったからといって、本人にその自覚がないわけではありません。もの忘れによる失敗や、今まで苦もなくやっていたことがうまくできなくなることが徐々に多くなり、何となくおかしいと感じ始めるのはまず本人です。その不安が高まるにつれ、「認知症ではないか」と心配して抑うつ的になったり、自分が忘れているのではなく、周囲の人が自分を陥れようとしているのだと妄想的になることもあります。また怒りっぽくなって、家族にあたるようなこともありますが、本人が最も辛く苦しいことを、周囲の人が理解することが認知症では大切です。

 

落とし穴4家族への精神的なサポートも見落としてはいけません

認知症では、家族にも相当の負担がかかります。本人の失敗が多くなればその分ケアが増え、肉体的にはもちろん精神的な負担も増えます。さらに最近は高齢化・核家族化により、高齢者の夫婦世帯が増えており、パートナーが認知症になれば、生活のすべての負担がパートナーに掛かってくることになります。こうした認知症患者をケアする人に対するサポートも忘れてはいけないポイントです。

 

認知症かかりつけ医をもって、体の治療と心のケアを

認知症の疑いをもったら、早めに病院で相談や検査を受けてください。早期治療により認知症の進行を抑える効果や認知症の背後にある病気の発見にもつながります。また本人や家族の心のケアのために、医師に相談することが重要です。そのためにも「認知症かかりつけ医」をもつことをお勧めします。

認知症かかりつけ医とは、適切な認知症診断の知識・技術や、家族からの話や悩みを聞く姿勢を習得した医師をいい、今後どのように生活していけばいいかなどのご相談にも応じます。 当医院は、長野県認知症かかりつけ医に登録されております。お気軽に、安心してご相談ください。また認知症予防には、日頃の運動も大切です。当医院併設の通所リハビリテーション「さくら」も合わせてサポートさせていただきます。